売れないのは営業スタッフのせいではない

スタッフのモチベーション維持・向上こそ企業財産の源ではないでしょうか


「朝起きて、今日の仕事に燃えながら家を出る」というのが多くの社員が理想とする姿です。毎朝、今日の仕事にモチベーションをもって出社する従業員が何人いるでしょうか。毎日夜遅くまで残業が続き、疲れが溜まり出社している方がいます。意味のない残業をすることに心の中で抵抗し、それを誰にも表現できないまま、ただ惰性の中で残業を続けている方も多いのではないでしょうか。

国際・国内の物流業界にはこのような不満を抱きながら「理想とする職場(ワークプレース)」を求めている方が多くいます。
とある物流・運輸企業に夢と希望に満ちて入社をし、毎朝「やる気」を持って出社する日々が続く。改善の意欲を持ち、理想の職場を創ることに生き甲斐を感じながら過ごす。しかし、暫くすると、入社当時に見えなかった会社のやり方、上司の指導法
、惰性の文化、変えようと思っても身動きがとれない職場環境、倫理観のないマネジメントがだんだんと見えるようになります。
何とかしてこの企業文化、職場環境を変え、効率的なワークプレースをつくらなければならないと思い、仲間に働きかけるが、上司またはその上の上司などからの無言のいやがらせや圧力に負けて、セルフスターターではない受け身の社員になっていくのです。最終的には、周囲の同僚と同じように、無言の圧力に目をつぶりながら、「諦め」というワークプレースで、チャンスがあったら理想とする職場(次の会社)に転職する希望を持ちながら、坦々と惰性の中で働いている物流スタッフはかなり多いのではないでしょうか。


売れないのは営業スタッフのせいではない」と全従業員が思った時から、本当のイノベーション(改革)が始まる。


朝礼で営業部門のメンバーを叱咤激励して顧客訪問数を増やす方式では、もはや通用しない。

営業手法には、

「御用聞き営業」、

「提案型営業」、

「顧客戦略型営業」、

「市場細分化・囲い込み手法」などがある。

これらの営業手法をうまく組合わせて実行しても、売れないものは売れない。
なぜかと言えば、「顧客が会社と商品に興味を持たない」からである。

顧客ニーズに基づいた効率的なプロセスを作り、スピード経営を実行しても、売れない時がある。
その理由は、顧客がその会社には興味がなく信用していないからである。

それでは、どうしたら、何をどう変えたら、顧客は商品と会社に興味を抱いてくれるのだろうか。

その条件は商品そのものだけでなく、人間の本質に基づくものである。

従業員が満足している姿(全員で議論し、鍛え合い、売れるものを作る風土)と

信頼感(人間性)を顧客に売る。これを実行している企業は少ない。
 

顧客に信頼感(人間性)を感じていただくには・・・

全従業員が「仲良く」職務に打ち込んでいることが、顧客から見える会社であること。
 

*お互いに人の意見に耳を傾けている。

*単なる「報連相」でなく、心の底から議論し、全員で合意する。

*民主主義に基づく多数決だけでなく、少数意見も尊重した本当の合意。

*肩の力をぬいて、りきまず、リラックスして決める。

*上司の前で、無駄口を言わない「沈黙は金」の時代は終わった。
「自由な雰囲気の中で、激論を交わせる」ことは、仲がいい証拠である。

 

「仲良く」するには・・・

営業、カスタマーサービス、オペレーション、
経理、人事、総務が日頃から交流し、何でも話せる、議論できる、
自由な雰囲気を作り出すことから始まる。

 

仲のいい、団結したチームを造り、顧客とのタッチポイントでそれを感じていただくことである。

つまり全従業員が「仲良く」していることが、顧客から見える会社であること。

「これをいかにつくるか」が売上・利益を増やすための基本である。

だが実状では、営業スタッフの出入りが激しい、営業だけでなく、カスタマーサービス、オペレーション、経理、人事などの
退社従業員が多い会社が増えている。

 

その理由は:

マネジメントのリーダーシップがない。

部門間のコミュニケーションがない。

最悪は足の引っ張り合いが起こる。

社内で教育を受けた人の数が少ない。

このような環境下では、「売上が伸びない責任は営業スタッフにある」とは言えない。

 

商品・サービスは社長を含む全従業員でつくる。そのためには、自由に遠慮なく何でも話せる、仲の良い人間関係が重要である。

以上は令和の今に至る長期の経験から基づく問いかけです。ぜひ一度考えてみていただきたいと痛切に願います。